さうすぽー

サウルの息子のさうすぽーのレビュー・感想・評価

サウルの息子(2015年製作の映画)
4.3
自己満足点 84点

「ゾンダーコマンド」
同胞のユダヤ人をガス室に送りだして遺体の処理をする特殊部隊で、数ヶ月働いた後にガス室に送り込まれたそうです。

ナチス政権下でこんな部隊がいたことを知りませんでした。

ホロコーストを題材にしたハンガリー映画。
主人公は、自分の収容所内で息子を見つけ、ユダヤ式の葬式を行おうと行動す話。

彼は収容所内で幾つもの犠牲を体験してきたからかどこか表情が薄れており、心が麻痺しているようにも思えます。
しかし、息子の葬式を執り行いたいとする感じから、人間の心を持ち続けたいような心情も垣間見ることも出来ます。


基本的に主人公をクローズアップで映す視点で終始展開されていくので、背景がボヤけて映されるのですが、人の悲鳴や音で何が行われているかが想像しやすいです。
そこで行われているのは本当に地獄で、自分も主人公と同じ立場だったら精神が壊れてしまうでしょう。

ホロコーストを題材にした作品は今までに、
・シンドラーのリスト
・縞模様のパジャマの少年
・ライフイズビューティフル
この3作品を観ていましたが、この映画はどの作品よりも観ていて辛かったです。

特に、冒頭のガス室での場面は本当に気が滅入りました。

直接映さずに、収容所で行われている恐ろしさを明確に表現しているのは本当に素晴らしいです。
もう一度観たいとは思いませんが、ホロコーストの恐ろしさを知るには上記の3作品と同じく観るべき映画だと思います。

ただ僕は、こんな辛い映画は二度と観たくはないです。