Kevin

ロブスターのKevinのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
3.8
独身者はとあるホテルに集められ、そこで45日以内にパートナーを見つけられなければ動物に変えてられてしまう世界。
デヴィッド(コリン・ファレル)もその内の1人である。
しかしそこでの異常な光景を目の当たりにした彼は独り身が隠れ住む森に逃げることに。
その森でデヴィッドは近視の女性と恋に落ちるが...。

豪華キャストが送る、現代の恋愛の価値観や在り方をとことんブラックな切り口で描いた斬新で痛快な唯一無二の作品。

ぽっちゃりファレ兄、哀愁漂う音楽に独特な世界観、シュールな笑い、そしてデッデッデンデッデッデン。
序盤はそのぶっ飛んだ設定故に少々戸惑いを感じましたが、ある程度飲み込めた辺りからジワジワと笑いが襲ってきます。
しかしそう思ったのも束の間、「これは笑っていいのか?」と真剣に観入るように。

独り身が完全な悪と定められている世界。
パートナーを見つけなければいけないと言う。
そのパートナーの大切さを片腕を手錠で使えなくしたり、“男性1人での食事”や“1人で歩く女性”などのレクチャーを披露することでわかり易くこちらに訴えかけてきます。
これらのシーンはそれだけを見れば面白おかしく笑えてしまうのですが、ふと我にかえり「他人事ではない」と思うと一気に説得力を増すように思えました。
描かれていることは若干非現実的なことでも、根底には現実世界と何ら変わりない愛について描かれているので充分こちらに伝わってきます。

この作品の全てを理解するのは難しいですが、得たものは確かにありました。

実際こんな世の中になったらどうしよう。
動物になるとしたらウサギかな。あいつら激しいから。
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