ひでやん

ちはやふる 上の句のひでやんのレビュー・感想・評価

ちはやふる 上の句(2016年製作の映画)
3.8
原作の漫画もアニメも知らず、予備知識なしで鑑賞。

百人一首の札を取り合う話って盛り上がるのかな?地味なテーマだなと思っていた。

百人一首はいくつか覚えているものがあったけど、言葉の意味は知らず、競技かるたについても無知だったが、細かな説明により、かるたの世界に引き込まれた。

奥深い伝統文化の魅力と、詠まれる歌の美しさを知る事ができた。

現代ではAメロ、Bメロ、サビで構成されたラブソングをカラオケで歌うけど、昔は四季折々の風景や心情、胸を焦がす恋心などを31文字(みそひともじ)に綴ったラブソングを詠んでいたんだな。

短い句に込められた意味を知ると、歌人が抱いた想いや、目にした世界が美しく広がる。もしも米津玄師がこの時代にいて和歌を詠んだら…

「忘られぬ 今もこの胸 残りたる
苦き檸檬のかをりなりけり」

…みたくなるのかな。

そして競技かるたの魅力を教えてもらった。

水を打ったような畳の上で、研ぎ澄まされた全神経を耳に集め、決まり字である「音」を捉えた瞬間、素早く札を払う。それはまるで上空で旋回していた鳥が急下降して水中の魚を捕らえるような動きだ。

キャストのみなさん、相当練習されたんだろうな。

高度の瞬発力と精神力で競い合う場面は、緊迫した臨場感と、溢れる躍動感があった。

部員集め、強化合宿、そして都大会へと進む個性豊かな5人、そこに生まれる絆や、情熱がひしひしと伝わった。

髪をかきあげ本気モードになった千早の目力が凄い。そして白目をむいて眠る千早に笑った。
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