Melko

さらば冬のかもめのMelkoのレビュー・感想・評価

さらば冬のかもめ(1973年製作の映画)
3.7
「ただ奴にいい思いをさせたくてよ…」
「奴はそんな玉じゃねえ」
「ワシントンでは楽しんだ」
「だからといって、8年の刑が楽になるか?ならんぞ。逆に辛くなる」
「だからなんだってんだ」

「ミュール、奴は18で女の味を知らん。この機会を逃せば次は26歳」
「その時は、、やりたがらんかもしれんな。。」

こう言う話だったかー。想像してたよりものーんびりゆーったりしてたから、緊張感は無いに等しい。
おじさんとおじさんと若いあんちゃんが、クダを巻きながら電車等に揺られつつテクテク移動する話。
やってもいないことで、理不尽にも8年の服役を食らった若者メドウズ。彼はまだ18歳。おそらく、彼のNOと強く言えない性格が悪い措置に拍車をかけたのだろう。
彼を護送することになった先輩2人、親分肌でけんかっ早いバダスキーと、現実派でサバサバしているミュール。

お互い初対面の3人、ツンケンぎこちないながらも歩を進めていくうちに、メドウズの情けなさや世間知らず具合が浮き彫りとなり、それにより徐々にバダスキーの兄貴心が出てくる。
まだ20歳にもなってないのに、言われなき罪で護送され8年も無駄な苦しい日々を過ごす若者を前に、あれも教えてやろう、これもやらせてあげようと、お節介が爆発するバダスキー
強引な彼に乗ってあげつつ、本来の目的や自分たちの身の上を忘れない現実主義のミュール
おそらく30代半ば〜後半の、会社の中だといわゆる「中堅」と呼ばれる年代の2人
時にメドウズにハッパをかけ、時に怒り、時に諭し、新入社員より若い子供に人生で大事にすべきこと、主張すべき時はすること等を教えていく。
それを親からは教えてもらえなかったメドウズ。常に浮かない顔の彼。自らのこれからの月日を想って、心ここに在らずな彼。藁にもすがるように必死に念仏を唱える。

何かにすがり、祈り、願うと、叶う時もあって嬉しくなる反面、近づく別れに耐えきれなくなるメドウズの心。
まだ18だもの。諦められないでしょう、色々と。

祈りに自分の全てを捧げてもどうにもならないことを知っているであろうおじさん2人は、念仏や宗教からは一歩も二歩も引いているが、まだまだ世間を知らないメドウズは傾倒してしまう。

最後のあのメドウズの行動は、どう言う意図か…ハッキリは分からないけど、せっかく仲良くなった2人と別れたくなかったのでは、、やっぱり、、なんて。

地元の先輩後輩がワチャワチャやってるだけに見える図は、見ていて退屈になりそうなものの、言葉にそれ相応の説得力を持たせるジャック・ニコルソンの演技が繋いでくれた。
本当に若者を心配するおじさんに見えたもんね。

3人の仲はこれからも続くのか…文通でもするのか、8年経ったら迎えにいくのか。
呆気ない最後に、ハッピーエンディング信じるマンは彼らのこれからを見た。
Melko

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