広島カップ

さらば冬のかもめの広島カップのレビュー・感想・評価

さらば冬のかもめ(1973年製作の映画)
4.5
窃盗を働き八年の刑期で刑務所送りが決まった若い水兵(ランディ・クエイド)。
彼をノーフォークからポーツマスにある刑務所に護送する任務を任された海軍下士官の二人(ジャック・ニコルソンとオーティス・ヤング)。
水兵帽を被った男三人の珍道中が始まります。

『ウディ・ガスリー/わが心のふるさと』(1976)より以前のハル・アシュビー監督、『カッコーの巣の上で』(1975)より前のジャック・ニコルソンがタッグを組んでいます。

若いニコルソンが実に魅力的な男を演じています。
人生の良い時代を八年間もくらい込むことになる若い水兵に同情し道中にあれやこれや彼なりの方法で経験をさせてあげます。
彼自身も飲んだくれで短気でだらしのない性格なのに、弱者に対して思いを寄せられる人物というのはカッコーの…の主人公と共通するところがあり、ジャックの得意とする役柄。
登場人物の優しさを描くのが上手いハル監督と好相性を見せました。

セーラー服に白い水兵帽姿が印象的で缶ビールを次々に空けていく彼。
特に雪のうっすらと積もっている公園で震えながらビールを飲んでる姿が可笑しいやら悲哀を感じるやら。
演技と演出に感心します。

三人の男で展開される稀少なロードムービーとして出色の出来です。
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