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太平洋の地獄のHKのレビュー・感想・評価

太平洋の地獄(1968年製作の映画)
4.0
ずいぶん昔から存在は知っていましたがCSの三船特集で初見。
第二次大戦中に無人島に漂着した日本兵と米兵の敵同士の2人のお話です(『キングコング/髑髏島の巨人』の冒頭のシークエンスはこの作品のオマージュ?)。
本当に初めから最後まで三船敏郎とリー・マーヴィンの2人しか出てきません。
しかもセリフは非常に少なく、たまに喋っても三船は日本語のみ、マーヴィンは英語のみでほとんどコミュニケーションは成立せず(言葉の壁は大きいとつくづく感じます)。

なんせ三船とマーヴィンですから、どちらの面構えからしても自分から折れて協力しようというタマではありません。
いつまで経ってもお互い敵視し合うのみです(マーヴィンは『北国の帝王』でのアーネスト・ボーグナインとの死闘が思い出されます)。
そろそろ友情が芽生えるのでは、という観る側の期待は裏切られ続けます。
正直言って、このシチュエーションで2時間近くもつのかと途中ちょっと心配になりましたが、さすが2大名優の存在感、最後までどうなるのか目が離せません。

原題は『Hell in the Pacific』 直訳です。監督は『脱出』や『未来惑星ザルドス』のジョン・ブアマン。音楽の雰囲気はジェリー・ゴールドスミスかなと思ったら意外やラロ・シフリン、たしかに後半ちょっとJAZZっぽい調べが・・・。

この映画を観終わって、同じ人間なら言葉は違っても分かり合えるという安易な考えの甘さ、言葉を伴わない意志疎通の限界というものを思い知らされた気がします。いろいろと考えさせられました。
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