さうすぽー

この世界の片隅にのさうすぽーのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
3.7
自己満足点 73点

今年これの長尺版をやるみたいですし、平成も明日で終わるので「平成を代表するアニメ」として今のうちにコメントしたくてレビューを書きました。

「君の名は。」と同じ年に社会現象を巻き起こした本作で、非常に評価が高いです。
この映画は良い映画だと思いますが、自分は絶賛とまではいきませんでした。
その理由を、好きなポイント込みで書きたいと思います。

まず、太平洋戦争の時代を題材にしてるアニメーション作品は恐らく「火垂るの墓」くらいなので、そういった意味でも貴重だと思います。
昭和の絵本タッチでのアニメーションは独特です。
非常にその時代の世界観に合っていますし、作画も悪くないです。

主人公のすず自身のキャラクター性も好きですし、それを演じた能年玲奈の演技も良かったです。
最初は声優ぽくない演技に違和感を感じましたが、すずのキャラクター自体に非常にはまっていたので段々と好感を覚えました。

また、戦争における暗い部分は少しぼかしてフォーカスしたり、暗い所だけでなくすず達の日常の風景を描いたのも良かったです。
「火垂るの墓」等はあえて悲惨な状態を多く映して戦争の残酷さを著していましたが、この映画は戦時中の人々の生活にフォーカスしていたのが良いです。

そして、この映画は悪い点や突っ込みどころは見つからないです。
一部で玉音放送でのすずの台詞に賛否があったそうですが、すず自身のその時の状況を見れば納得がいきます。

作品自体の完成度で言ったら正直先日見た「アベンジャーズ/エンドゲーム」よりも全然高いと思うし、自分の大好きなアニメ「さよならの朝に約束の花をかざろう」よりも高いと思うので、完成度だけで点数を付けるとしたら確実に96点以上です。


ただ、完成度と僕の満足度は非なるものです。
決してこの映画で描かれる戦争の価値観に疑問を抱いてるわけでもありません。
なぜ僕が言うほどこの映画を好きになれなかったかと言うと、
簡単に言ってしまうと、「ありきたり」というやつです。

と言うのも、僕は朝ドラ(NHKの連続テレビ小説)を習慣的に観ている事もあって、既視感が強かったです。
太平洋戦争のエピソードを通る朝ドラは数多く存在します。
この映画の内容が朝ドラの話とは違う「意外性」のあるものになってるかと問われると個人的には"否"です。
この映画の内容に近い話も多く観てきたので、僕にとっては「ありきたり」に感じてしまいました。

アニメーション自体も先ほど「世界観にはまってる」とは言ったものの、個人的な好みだとは思いますがアニメーション自体もそんなに好きにはなりません。

あとは、映画が予想以上にヒットし、非常に評価が高かった事もあって観た時に期待が大きすぎてしまった気がします。


批評家がこの映画を高く評価するのは解らなくもないですが、正直何故あんなにも大ヒットしたのかが不思議でした。
ですが反戦映画として素晴らしい作品であるとは思うので、先ほど書いたように良い映画であるのは間違いないとは思っています。