さうすぽー

夜明けのすべてのさうすぽーのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.6
自己満足点 90点

すごく優しい映画。
気持ちが沈んでる時にこそ、心の傷が癒えるような気持ちよさを伴う内容に非常に感動しました。


上白石萌音演じるPMS(月経前症候群)に苦しむ藤沢さんと、松村北斗演じるパニック障害を抱える山添が共に助け合うという、瀬尾まいこ原作のヒューマンドラマ。

演者二人は朝ドラの「カムカム エヴリバディ」のコンビで今回再び共演していますが、やはり息がピッタリ合ってました。


この映画、精神疾患を抱える男女の関係性を描いてるので一見シリアスになりそうでもある内容です。
確かに、疾患が発病してしまう場面は観てて苦しくはあります。
しかし、決して深刻にならない。それが凄いです!

本作を観て改めて気付かされました。
この手のテーマでは何も過剰にシリアスに描く必要は無いし、過剰にドラマチックに描く必要も無い。男女間の恋愛模様も描く必要も無かったんです。

実際これらを抜いて描くのは難しいです。
ただ、それでも登場人物の台詞や興味深いやり取り等で充分に面白くさせられてるのは、瀬尾まいこが書いた原作小説の力でもあり、監督である三宅唱の力でもあると思います。

また、他の登場人物も決してお飾りだけの機能ではありません。
渋川清彦や光石研演じる二人の上司の人物像等も繊細に描いており、松村北斗演じる山添の彼女の描き方も好きでした。


序盤の山添の人見知りな姿は若干過剰に描いてる気はしましたが、それ以外は特にネガティブなポイントは無く、最後まで満足出来ました。


今作を観て、瀬尾まいこの小説も気になったし、三宅唱監督の他作品も気になりました。

今年ベスト級の傑作です!