のら

シャザム!ののらのレビュー・感想・評価

シャザム!(2019年製作の映画)
4.0
シャザムは DC コミックスのヒーローで、日本では馴染みが薄いが、国によっては戦隊ヒーローものといえばシャザムを連想したり、インクレディブルファミリーの元ネタになってる程、歴史の古いキャラクターになっている。

しかしなぜこれほど歴史のあるキャラクターなのに馴染みが薄いのか?というと、作中でもネタになっているが、簡単に言うと家族物のスーパーマンだったため、スーパーマンの盗作として訴えられた為に廃刊の憂き目にあい。最終的にDCコミックスが権利を買い取った時にはマーベル・コミックが誕生していたため、キャプテン・マーベルという元の名称を使えず、現在のシャザムという名称を使うことになった。本作中でも主人公のヒーロー名が定まらないのも、その辺の事情を踏まえている。

前述のとおり原作が、アメコミでも古典の部類に入るため、ストーリーとしては非常にシンプルで、母親と逸れて里親を転々としていた主人公がヒーローパワーを得てシャザムに変身するというもので、話そのものはシンプルだ。しかし14歳の主人公が変身するとアラフォーのおっさんに変身するというのが本作の肝で、見た目は大人中身は子どもという役をザッカリー・リーヴァイが上手く演じている。

シャザム同様ザッカリー・リーヴァイも知名度は低いが、塔の上のラプンツェルのフリン役や、テレビドラマではチャックなどコメディ作品で才能を発揮していて、本作でも思春期の子どもが突然力を手に入れて調子をこく感じなどを上手く演じることが出来ている。

一方で悪役になるサドが若干ストイックすぎるというのか、悪役といえばこの人という感じのマーク・ストロングが演じているわりにはインパクトに欠ける。何故かと言うと本作ではサドが何故悪役になったのか。という部分を比較的丁寧に描いているものの、主人公との対比で見ると本人の意志でどうこう出来る次元を越えてしまっているため、やってることは極悪だが倒すべき相手として弱い。

また主人公が里親家庭を自分の家族だと認めるプロセスも、結果的に自分には帰る場所が存在しない事がはっきりとしたから。なわけで自分で選択した感じが弱いのが気になる。

しかしシャザムの神殿と七つの大罪の魔物の造形などはジョー・ダンテ作品のような趣で良いし。クライマックスでのフレディは本当に感動的だ。ヒーローコメディ映画というとマーベルにはデッドプールがいて、奇しくも共に家族を題材とした映画だが、シャザムは王道中の王道をいくファミリー映画に仕上がっている。
のら

のら