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ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声のdeenityのレビュー・感想・評価

3.5
感動したと勧められたので鑑賞。ボーイソプラノという声変わり前の男の子に一時与えられた天使の歌声。透き通るようなその歌声は、確かに強制的に感動させるような力があった。合唱というもの自体が声の圧力というのか、そういう心を動かさせる力があると思うから、これだけ高音の響きを聴いていると歌声に包まれて神秘的な気分にすらなる。

ダスティン・ホフマン演じるカーヴィル先生はどちらかと言うと冷静で冷めた感じのある人柄であるが、彼がこのボーイソプラノを率いて指導している理由を聞くと納得させられる。
彼が教えているのは歌ではなく、人生だと。いつか失われるその声をなくしたとしても、いつか失うとわかっているもののために努力したことは変わりない。どういう道に進もうとも、それを自信に、それを誇りにもって生きろと。だからこそ彼の厳しさがあり、同時にあの推薦文のような優しさがあるのだろう。

個人的に惜しいのは、ステットの歌声なんだけど、そこまで他の子と違っているような印象を受けなかったんだけど自分の耳のせいだろうか。
たしかに高音が美しく出ていたんだけど、もう少し演出効果とかで彼のソロパートとか例えば周囲を納得させるシーンとか、ちょっと人とは違った印象を持たせるような工夫はできなかったものか。周囲のリアクションがそれにあたるのかもしれないが、リアクション自体はそこまでわかりやすいものではなかった気がする。
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