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イコライザー2のろのレビュー・感想・評価

イコライザー2(2018年製作の映画)
5.0

「ばあちゃんに言われたんだ。死人は忘れられるともう一度死ぬって」

緊張した面持ちで面接に向かう青年、老人ホームで暮らす常連客、第一志望の大学に合格した女性、イラクへ出征する軍人・・・
タクシー運転手に転職したマッコールは、日々さまざまな人生を垣間見ながら見知らぬ人を助け続けていた。
そんなある日、CIA時代の友人の訃報が飛び込んできて・・・

「出会った人を助けるのはいいことだけど、あなたの心の穴は埋まらないんじゃない?」
亡くなった奥さんの誕生日に訪ねてきてくれたスーザンは、ある事件の捜査中に遺体となって発見される。
彼女が殺される直前に乗っていたエレベーターの監視カメラ。
殺害現場の写真、遺体解剖の記録。
調べるうちに、マッコールは意外な事実に辿り着く。

「”男”のスペルは”GUN(銃)”じゃない。お前は選べる。お前には才能がある。環境だとか人種差別を言い訳にするな。チャンスは生きている間に使え」
同じアパートに住む高校生マイルズは美術を志しながらも、学校の授業を受けず、麻薬の売り子として金を稼いでいた。
そんな彼にマッコールはアパートの壁の塗り直しやキッチンの修繕を依頼する。
ある雨の夜、マッコールを狙う殺し屋たちがマイルズの作業中に侵入してきてしまい・・・

「本棚から『アメリカの息子』を探せ。その本の奥に青いボタンがあるだろう。それを押して中に入るんだ」
勲章の付いた制服が並ぶシェルター。
マジックミラーに指で書かれたへの字のニコちゃんマーク。
閉所恐怖症のマイルズはパニックに陥っていき・・・

「だれでもできるがだれもやらないんだよ、マイルズ。で、皆は怒る。だれでもできることをやらないから。だれかがやるべきなんだよ」
今までしてきたことや放った言葉はすべて自分が選んできたもので、その積み重ねで人生は成り立っている。
この仕事をする、こうやって金を稼ぐ、こんなふうに生活する、こういう考え方をする。
それがすべて、誰か・世の中・環境を軸に考え、決められたものだったらどうだろう。
会社に従ってこういうことをしたらある日クビにされた、その理不尽さに怒り、金持ちだけが得をする世の中を作り上げた(と感じる)社会に怒り、あの人がこう言ったから、世の中がこういう風潮だから。そうしているうちに、自分が本当にしたいことさえ分からなくなっていく。

「痛みには2種類ある。体の痛みと改心の痛み。いま、どちらか選べ」
死にゆくものに選択を迫るマッコールは、ラストシーンで自分の家へ帰る選択をする。失われた時を求めて・・・


( ..)φ

「君らが何になろうが興味ない。だが、お前たちは私の友人を殺したんだ。だからおまえたち全員を殺す。一度しか殺せないのが残念だ」
こう宣言した後、その殺し屋の娘を抱き上げて車に乗り込んでいく、マッコールさんの笑顔に痺れまくりでした。

そして殺すにしても、一人一人に対して丁寧なのよね。現地調達した材料で死のピタゴラスイッチを手作りするアナログ感。オーダーメイドの殺し方でじっくり魅せてくれます。
ろ