鷲尾翼

ニーナ・シモン 魂の歌の鷲尾翼のレビュー・感想・評価

ニーナ・シモン 魂の歌(2015年製作の映画)
4.0
【まとめシネマ】#464

【まとめ】
* 壮絶な裏側を訴えるソウル!
* ボロボロになったラストは悲しい
* 自由を求めて闘い続けた歌姫

本作は1950〜70年代に活躍し、当時の黒人公民権運動に参加するなど社会運動にも積極的に活動したニーナ・シモンの人生を振り返るNetflixオリジナルドキュメンタリー作品。

彼女は、ソウルやゴスペル、R&Bなどのブラックミュージックを歌い、黒人差別に対する社会運動に参加したりと、当時の黒人にとってヒーローのような存在だったが、その裏側では夫でありマネージャーだったアンドリューのDVに耐え、双極性障害(躁うつ病)と戦う様を殴り書きされたメモと共に語られている。その壮絶な裏側を知ると、彼女の歌に込める意味や深みがガラッと変わる!

後半は、低迷期を迎え家族も、家も、金銭も失ってホームレス状態になった彼女が久々のライブに客前に立つ。しかし、その姿は死んだ目で観客を眺め、観客の拍手や優しい歓声に「うるさい」「やめて」と指を差して、静まった中歌を歌う。その姿は音楽に真剣な姿とも思えるが、極限の精神状態の中でのライブとも思える。

本作は、彼女が訴える様々な「自由」を知り、それを求めて貧しく厳しい社会のために必死に闘い続ける姿を噛み締める作品。これを踏まえて「サマー・オブ・ソウル」を観ると、黒人問題に対するメッセージが変わる。
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