映画的なカタルシスは弱い代わりに文学性が高く、だからといって映像ならではの魅力も詰まっていた。
良かったとこ1。キャスティングの妙。子役のチョイスは言うに及ばず、全ての役が当て書きかと思うほど絶妙。
良かったとこ2。セリフの言葉選び。主人公の幸夫が小説家という設定はあるにせよ、偏った価値観の人間の理屈を理路整然とした正論に仕立てあげ、身もふたもない会話に仕上げる脚本が良かった。
良かったとこ3。長期撮影。一年近く撮影したおかげで、兄役の真平が本当に小6から中1になる成長を、身体的な成長と共に描くことができて、この変化だけは映像ならでは。
残念だったとこ。中盤がちょっとだるい。子供とのふれあいで微笑ましくなるところではあるものの、ドキュメンタリーかと言いたくなるほどのんびり撮りすぎなところがあった。