ぴよまろ

美術館を手玉にとった男のぴよまろのレビュー・感想・評価

美術館を手玉にとった男(2014年製作の映画)
3.0
30年間、「善意で」絵画の贋作を作り46の美術館に寄贈し続けてきた男が、彼に興味をもった美術館職員の手によって個展を開催するまでを追ったドキュメンタリー。

主人公=本人が作り続けた贋作により、全米の美術館が騙されてきたものの、本人はそれを「慈善活動」として、すべて無償で行ってきたという事実が奇妙で面白いです。作中で、本人が精神疾患(ADHD?統合失調症?)を抱えていることは示され、それ故に彼の贋作は非常に精巧なものであることが分かります。

彼にとって、贋作ではない自分の作品は少なく、他にできることが多くはないが、それでも社会に貢献したいという思いが、彼にとっての慈善活動であることが、優れた技術を持っていても社会にうまく溶け込めない切なさを感じました。ある美術館職員により、彼の贋作の個展が開催されますが、この個展はぜひみてみたいです。

彼のやってきたことが犯罪か否か、芸術か否か、そんなことを考えさせられる作品でした。
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