田島史也

素晴らしきかな、人生の田島史也のレビュー・感想・評価

素晴らしきかな、人生(2016年製作の映画)
3.2
「死」と「時間」と「愛」が具現化し、精神を病んだハワードを立ち直らせる話。

これが、ファンタジーではなくしっかりと演じられたものとして描かれた点は良かった。設定として面白いなと感じられた。

ただ、サイコロジカルな内容の割には、心理描写が疎かになっているような。哲学に頼りすぎて、明確なメッセージを与える内容にはなっていなかった。

何よりもラストが残念だった。ハワードとマデリンが夫婦だったって、さすがに無理がある。再開したときのリアクションとか挨拶とか、かなり不自然。展開の妥当性がない、というか。抽象概念との対話というメインのストーリーラインと結びつかない内容がラストに据えられてしまったために、作品全体の纏まりを損なわせているように感じる。

この監督は危ない道路を渡らせがちなのかな。
ニューヨークの夜景が綺麗だった。

哲学に頼ると、感情が浮き彫りにならない。演技が映えない。テーマがテーマだから仕方ないのかもしれないが、もう少し生の感情に触れるような、繊細な描写があれば良かったのに、と思う。


映像0.8,音声0.8,ストーリー0.6,俳優0.7,その他0.3
田島史也

田島史也