リミナ

ベイビー・ドライバーのリミナのネタバレレビュー・内容・結末

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

視覚と聴覚に刺激をもたらすミュージカル風アクション映画。

運転技術の腕を買われ、一度犯罪に加担したばかりに後戻りできず、
ズブズブと嵌まっていく主人公のどうしようもなさ。
犯罪に巻き込まれていく一般市民や警察の慌てふためき。
それら負の感情に反比例して、実在の楽曲に音ハメしたエンターテイメント性の高い銃撃戦。
斬新な映像体験を味わえる。

また、主人公の耳鳴りの設定のおかげで、
音楽が掛かるON/OFFのメリハリが観客側にも浸透する。

物語として、"逃避"がひとつのキーワードのように何度か挙げられる。
幼少期に両親を失った一因であると同時に仕事の道具でもある車を乗り回す主人公。
それは遠くへ移動できる手段であるが、魔の手や正義からは逃れられない。

終盤は厭わず自らの手を汚し清算していく怒涛の展開。
愛する者を守るために逃避せず真正面から立ち向かう。
幼少期からずっとそばにいて己を守ってきたイヤホンからの自立。
投降に応じて刑務所に服役する終わり方も納得。

印象的だったのは、前半部であくまで主人公視点を強調させるためか、犯罪の現場が映らないレイアウト。街の喧騒を巧く取り入れたさながらMVのOPなど。現金輸送車を襲う際、楽曲を頭から再生し直すシーンも好き。それと音楽を聴く手段が有線のiPodなのもビジュアル的に洒落ている。もし、今時のワイヤレスイヤホンだと印象が変わってしまいそう。

本作では数多くの楽曲や車が登場するため、
その予備知識があるとより楽しめそうだなと。

もし劇場の環境で観られたら格別なんだろうなと思わざるを得ない作品。
リミナ

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