なるほど。面白かった。音楽に際立った特徴のあるアクション映画って珍しいね。「クライムアクション・ミュージカル」という新ジャンル、と言えなくもない（笑）
ストーリー自体はシンプルで、プロの強盗犯たちの逃亡の手助けをしている天才的ドライバーが、その仕事から足を洗おうとして、組織から追われることになるという話。その主人公の名はB・A・B・Y （ベイビー）。
とにかく音楽の使われ方が面白い。主人公は幼少期の事故が原因で聴覚に後遺症があり、耳鳴りを防ぐために常にヘッドホンで音楽を聴きながら生活している。劇伴はすべて彼のヘッドホンから流れている曲になっている。iPodを何個も持ち歩いているから、相当な数の曲のストックがあるとわかる。
主人公の年齢に比して、明らかに選曲が（いい意味で）古い。その背景には、実は家族愛の悲しい物語がある。結構切ない。こうした設定の巧みさのおかげで、音楽を聴きながら犯罪の手助けをするという漫画的ストーリーがわりと自然に受け入れられた。彼がベイビーっていう名を名乗る由来も想像するとまた切ない。
どんでん返しというほどの展開はないものの、落とし所をどこにするのかなーと思いながら見ていた。わりと納得感のあるラストだったと思う。モノクロの演出も僕はいいと思った。
ヒロイン役はシンデレラを演じていた女優さん。本作はロマンスの描写が控えめなので、彼女の存在感は結構大事。似合っていた。
ジェイミーフォックスは、直情的に人を殺すかなり酷い悪役。ケビンスペイシーは最後まで悪役なのか何なのか、よくわからない役どころだった（笑）久しぶりに彼を見られたのもよかった。
なお本作のタイトルは、サイモン&ガーファンクルの曲名に由来するそうです。
本作の監督がショーンオブザデッドを撮った人だと後で知った。
