ベイビー

ベイビー・ドライバーのベイビーのネタバレレビュー・内容・結末

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

本当に大好きな映画。
冒頭のカーチェイスもいいですが、その後のワンカットワンシーンのオープニングで「こだわりがあり、いい映画だな」と直感しました。

そのこだわりは終始貫かれていて、劇中ずーっと映像と音楽がシンクロしています。しかもただシンクロしているわけではありません。劇中のサントラは全部ベイビーが聞いている音楽であり、その音楽が映像とシンクロしているということは、それは、ベイビーの主観を体感しているということと同じで、観客は、ストーリーを追いながら無口なベイビーの感情をそのまま体感し、いつの間にか彼に感情移入してしまっているのです。本当、魔法の演出です。

あといいのは、なんと言ってもベイビーとデボラの関係性。初めて会った時に好感を持ち、次に会った時には好意を抱き、三回目のデートで互いに惹かれ合う。ただそれだけのことですが、二人の関係性に何の疑いもなく作品を見れてしまいます。それは、最初に出会った時の音楽の話をするくだりの効果もあると思いますが、その他に、ベイビーはデボラの前では音楽を聴かないという紳士的な行為だとか、デボラが終始ベイビーだけに見せる可愛い笑顔だとか、そういった関係性の土台があるからこ、互いの感情に疑いがないまま作品を見れるのだと思います。

そして終盤、ベイビーとデボラは、二人で逃避行を試みます。その途中、赤いダッチチャレンジャーに乗った二人か、ベイビーとデボラを見て「ボニーとクライドみたい」と言います。ボニーとクライドとは、1930年代に銀行強盗と殺人を繰り返した有名な殺人犯で、映画「明日に向かって撃て」や「ナチュラル ボーン キラーズ」のモデルになったカップルです。
この関係性を知る人は、「ボニーとクライド」と聞いて、ベイビーとデボラも「ナチュラル ボーン キラーズ」の「ミッキーとマロニー」と同じようなエンディングが待ち構えているのではないかと、頭によぎったのではないでしょうか?
しかし、この映画の結末は、当てもなく、闇をさまようような打算的な結末を用意したのではなく、ベイビーが自首ししっかり罪を償うことで、5年後に、誰にも邪魔されないデボラとの明るい未来を予感させる終わり方になっています。

イヤー本当素晴らしい。本当、大満足な映画です。私の名前の「ベイビー」は、もちろんこの映画からいただいております。
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