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ノクターナル・アニマルズのyumeayuのレビュー・感想・評価

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
3.5
意識高い系女子

仕事も成功し裕福な暮らしをしているスーザンは、一見すると誰もが羨むキャリアウーマンだが、実は昔から自分の家族や人生観にコンプレックスを抱いていて、悶々とした日々を送っている。

スーザンはいわゆる"意識高い系"で常に理想の自分を思い描き追い求めてきたが、彼女自身、主体性に欠ける部分も多く、なかなか思うようにいかない。

そして彼女はその意識の高さ故にパートナーに対しても同じことを要求してしまう。
彼女自身に悪気はないのかもしれないが、無自覚のうちに他人を見定めてしまうところがある。
19年前に別れたエドワードに対してもそうだった。

劇中でエドワードがスーザンに送った小説のゲラ刷りは、二人の過去の出来事がモチーフになっている。
気弱なエドワードからは想像できないほど力強く暴力的な物語にスーザンはどんどん引き込まれて行くのだが…。

「復讐」か「愛情」か。
今作を見てどう感じるかは、観る側に委ねられる。レビューを見ても、色々な解釈や考察があって面白い。
僕は現時点ではどっちとも言えないし、正直よくわんない(笑)。
スーザンの行動次第ではどちらにもなるようにエドワードが仕組んでいたように思えた。

以下ネタバレを避けつつ核心に触れるのは難しいが、エドワードの小説にはスーザンへのメッセージが散りばめられていた。

エドワードがまるで見定めるかのように記した真のメッセージにスーザンが気付いたとき、エドワードはスーザンを赦そうとしたのではないか…。

ラスト。胸元ががっつり空いたドレスを纏い、エドワードに会いにレストランへ向かうスーザン。
バーボンを飲みながら、エドワードを待つスーザンの瞳は彼女が嫌う母親の瞳そのもの。
母親にそっくりだとエドワードが言っていたあの悲しい瞳だった。
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