悶絶も恍惚も又一色、
忘我を誘う一面の薔薇。
貫く美学に終始唖然、ジリジリと響く鎖のエロス。挑発的な音楽も、時代に置き忘れの言語のムラも、ニヒルに収める正統派。

• #コーナーポール

整形クリニックに務めている看護婦（泉じゅん）が、乳首ピアスを欲する女性（朝吹ケイト）との出会いを契機にして、猟奇性愛の世界へと堕ちてしまう。「隷属の歓び」を諭されるまでを描いている、日活ロマンポルノ。一般公募によるシナリオ入選作。

調教師の顔を隠している優男（南城竜也）が、絶妙な距離感を保ちながら、泉じゅんをじわりじわりと調教していくところが面白い。ホラーとコメディの表裏一体が機能しており、くすぐられるような戦慄を覚える。

泉じゅんに隷属の歓びが芽生えてくると、「他人の性愛行為を第3者視点で観察すると、滑稽なものに写る」の法則が発動。凌辱する側・される側の共依存関係がフィジカルに描写されており、倒錯カップルの性行動（＝奇行）に大笑いすることができる。

ヒロインの倒錯行動では、床に敷き詰めたバラの上で身悶えてから、主人の放尿を口内で受け止めるまでのくだりがサイコー。なお、乳首にピアスする手術シーンは、フェイク撮影によるもの。

• #エロ映画

かなりイマイチ。泉じゅんが知らず知らずのうちに男の奴隷になっていく様子をじわーっとしたテンションで撮るのだが、テンポは良くないし退屈だし、奴隷化していくことの説得力もなく、不気味さにもかける。
男優側の魅力のなさというのが大きい。ただのギラついた性欲の塊のおっさんにしか見えん。

乳首にピアス通す絵は、『アンダルシアの犬』の目ん玉カミソリ切りのような見世物的面白さはあったが。

• #ゆっきー日活ロマンポルノ
• #2021Jul.riazor511