すずき

ソーセージ・パーティーのすずきのレビュー・感想・評価

ソーセージ・パーティー(2016年製作の映画)
3.2
アメリカのとある大きなスーパーマーケット。
そこは食料品や日用品が、神様である「お客様」に手に取ってもらい、神様の家、即ち天国へと連れて行ってもらう事を夢見ていた。
だが、返品により天国から帰ってきたマスタードは、酷く怯えていた。
再び彼が神様に手に取られた時、彼は天国へ行く事より自殺を選んでしまう。
その騒ぎの中、包装パックから飛び出したのはソーセージのフランクと、ホットドッグ用パンのブレンダのカップル。
フランクは、マスタードが一体天国で何を見て何に怯えていたのか真実を知りたがるが、ブレンダは神様を疑う事に反対する。
一方、フランクの親友バリーは神様に連れられ天国にいた。
そこで彼はこの世の地獄と言える真実を知る…!
ーこれは、「偽りの楽園」に住む者達による、「神殺し」の物語であるー

食料品&日用品版「トイ・ストーリー」。
ただしエログロ超下品なR15指定アニメ!
まず主人公の「肉の棒」であるソーセージが、恋人のホットドッグ用パンの「割れ目」に「挿入」して「合体」したがっているという、最初の設定からエロエロ!
そして食品が切り刻まれ、潰され、生きながら茹でられ焼かれるこの世の地獄を描いたシーンはグログロ!
ラストの大乱行シーン、もはや男も女も関係なく(そもそも食品に性別があるのか)手当たり次第に合体するハチャメチャな描写は、漫画「えの素」を彷彿とさせるエログロナンセンス!

でも設定は結構好きで、よく練られていると思う。
彼らが、人間の手によって天国へと連れて行ってもらえる、と信じているのは「ベイブ」の冒頭でもあったよね。
そんな迷信・宗教がどこから生まれたのか、という謎が明かされ、フランクがスーパーマーケットの中にいながら真実を知る方法も上手い。
スーパーマーケット内のそれぞれの売り場によって、まるで異国のように雰囲気が全く違うのも面白い。
キャラクターが食料品、舞台がスーパーマーケットという設定を活かした、何気によく考えられた作品。

そんなよく考えられた印象のある本作なんだけど、それ故に大きなマイナス点があって…
それは、アメリカの日常の文化が分からないと、ネタがスッと入ってこない、という事。
出てくるキャラが何の食品なのか、その食品は何をパロディしているのか、が分かりにくい。
例えば、ベーグルとピタパンのキャラが喧嘩ばかりしている、というネタ。
これはユダヤのパンであるベーグルと、イスラムのパンであるピタ、つまりはパレスチナ問題のパロディなんだけど、ちょっと日本人に馴染み薄くて分かりにくい気がする。
たまたまこの前「エイブのキッチンストーリー」見てたから分かったけど。
色々と世界各国の風刺っぽいネタ多いんだけど、パッと見で分からないのはギャグとして致命的なのでは。
他にも、悪役が膣洗浄器のその名も「ビデ夫」なんだけど、膣洗浄器自体が日本でマイナーなので、なんの道具なのかしばらく全く分からんかった。トイレの詰まり直す奴かと。

主人公達が神殺しを成し得、楽園を取り戻したその後、主人公達が世界全体が偽りである事に気付き、「真なる神」との戦いへと乗り出すラストは「虚無戦記」っぽくてかなり熱い!
これよりフランク一行と神の軍団との戦い3000年に及ぶ…そして!!