カテリーナ

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男のカテリーナのレビュー・感想・評価

3.6
赤狩りの映画を初めて見たのは『グッドナイト&グッドラック』か『マジェスティック』だったと思うが その意味がよくわからなかった 政治的思想にまるで興味がなく
共産主義がなんなのかすら知らなかった
『トランボ』はそんな浅はかな私の知識でも楽しめる どちらかと言えば あの手この手で脚本を世に出す戦術が面白い作品だったと思う
ただ、巻き込まれた家族はいい迷惑で
家庭崩壊一歩手前で妻の鶴の一声で
難を逃れた 口数の少ないここぞと言う時に
効力を発揮する内助の功の妻役のダイアン・レインが素晴らしかった
思えば『リトルロマンス』から長い間第一線で活躍している数少ない女優だろう ある意味地味だけど

トランボが質より量ってことでスクリプトドクターとして大量に抱えた脚本を片っ端から片付けていくのだが トランボは
バスタブに浸かって仕事をするのだ
あれで集中力が継続するのかと
訝しむがつい、その間抜けな上半身にクスクス笑ってしまう
本人は真剣そのものなのにそこはかとなくユーモラスなキャラが好感持てる

1970年にトランボが米脚本家組合ローレル賞を受賞した時のこの物語を締めくくる スピーチは感動的だ
人間は寛容が大切なのだと語る
その言葉は胸に沁みた
その劇中のスピーチは以下の通り

あの恐怖の時代を振り返ると
英雄や悪者を探しても何の意味もありません いないのですから いたのは被害者だけ
何故なら誰もが追い込まれ 意に反したことを言わされやらされたからです
ただ、傷つけあったのです
お互い望んでもいないのに
私がここにこうして立っているのは誰かを傷つけるためではない 傷を癒すために話しているのです 傷を修復するためです
カテリーナ

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