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ジョン・F・ドノヴァンの死と生のPikKaのレビュー・感想・評価

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全米が熱狂するドラマにも出演し
俳優としても絶大な人気を誇るジョン・F・ドノヴァン。
その輝かしい栄光、
華やかな世界の裏にある孤独や闇、
そして突然の死。

成長し作家兼若手俳優として生きているルパート。
スターとファンという間柄ながら密かに長年文通していたルパートだけが知りうるジョンの真実を本にまとめ、記者との対談で当時のことを回想する中でジョンの視点も加わる形式になっています。

ジョンとルパートのエピソードを軸に展開されていく中で、彼らを取り巻く人々の物語もじっくり深く描き出されている。
そのひとつひとつに人生の重みや想いが凝縮されていて、それが映画とか作り物の世界だけではなく現実にも通じる葛藤や心の解放などもあり何度も泣かされる…
さらに演じる役者たちが実力派の名優揃いだからこそ、より一層の深みが。

ジョン役に大人気ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』等でお馴染みのキット・ハリントン、ルパート役に天才子役として知られるジェイコブ・トンブレイ、その母親役にナタリー・ポートマン、ジョンのマネージャー役にキャシー・ベイツ、ジョンの母親役にスーザン・サランドンと、映画界を代表する錚々たる実力派俳優勢揃いの凄さ。

このキャスティングの段階で
(絶対泣くんだろうな)
という予感はしていました。

ジョンと同じ世界に身を置いている名優たちだからこそ、リアルな自身の経験や想いも役に反映されているのかなと思えたりするほどの演技の厚みにひたすら惹きつけられる。

ルパートが母親に心の内をすべて叩きつけるかのように吐露する場面や、そんな母親への想いを綴った手紙を朗読する場面。
それまでの彼と母親の関係性があるから特に響きます。
私は彼の母親なのかと思うくらいに泣いた…
あの真っ直ぐで強さのある中にすべてやさしく包みこむようなあたたかさのある声と口調で読み上げられると、私のような干からびた鬼の目にも涙で…
天才子役といわれるジェイコブ・トンブレイの自然体な凄さを見せつけられる。

せつなくて心が痛くなるエピソードも多いけど、観終わる頃にはやさしさとあたたかさと清々しさに包まれる。

幼い頃に『タイタニック』を観てディカプリオに夢中になり、彼に手紙を書いたクザヴィエ・ドラン監督の経験から生まれたというエピソードが素敵。

2020年で泣いた映画ベスト1。
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