てつこてつ

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のてつこてつのレビュー・感想・評価

3.2
いかにも玄人が好みそうな脚本。
スーザン・サランドン、キャシー・ベイツ、ナタリー・ポートマンといった名実ともに素晴らしい役者さんたちが出演を快諾したのも分かるし、実際に彼らの演技は輝いている。

この作品で登場するジョン・F・ドノヴァンという若い俳優は架空の人物ではあるが、実際は、昨今でも不慮の事故死や自ら命を絶ってしまったテレビ界のスターで夭折してしまった・・ぱっと考えただけでも「glee」のメインキャスト2人が思い浮かぶ・・彼らを象徴的に描いた存在で、且つ、彼らに捧げるオマージュ作品だとも感じた。

ただ、脚本が余りにも優れていると起こりうる映像化にあたっての弱点、台詞の言い回しが妙に遠回しであったり、抽象的な表現にハマらない視聴者も多いとは思う。

作品のテイストからネタバレではないと思うので書いてしまうが、Netflixのオリジナル青春映画群や、それが本人にとって良いのか悪いのかは置いておいて、ゲイをカミングアウトしている売れっ子スターも多い昨今、この作品の主人公の性的嗜好をハッキリと、せめて肉親との会話の中ですら語らせないダイアローグには古さというか見ていてもどかしい部分もある。

もちろん、カミングアウトしたスター達には、その後、ストレートの役どころが与えられるチャンスは限りなく減ることとなり、リスクが付きものなので(マット・ボマーなんて、もっともっと大きく売れる魅力があったと思う)、これからテレビだけに留まらず映画スターとして羽ばたこうとする主人公が悩み尽くすという流れも大いに納得は行く。

主人公と文通を続けていた11歳の少年を演じた子役がいい。
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