すずきたけし

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のすずきたけしのレビュー・感想・評価

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繊細だなぁ。
繊細な映画ですよ。

2006年を舞台に、少年のルパート(ジェイコブ・トレンブレイ)と人気絶頂のアイドル、ジョン・F・ドノヴァン(キット・ハリントン)それぞれの並行する物語と、二人の間の奇妙なつながり。
 母と二人暮らしで友人もいない孤独な少年と煌びやかなショービジネスの世界で活躍するアイドル。
少年はアイドルのジョンが出演するドラマに興奮し、ジョンに手紙を書いて返事が来たことを学校の授業で話すも皆から妄想だとからかわれる。先生も嘘はいけないとたしなめる。
 片やジョンは華やかな生活の中でも本来の自分が必要とされない世界でもがき苦しんでいる。
予告編だけ観るとこの二人の友情の物語だと思われますがさにあらず。
実はこの映画は母と子の物語なのです。
母と子、それぞれの距離感の葛藤がとても胸にくる映画でした。

本当に繊細な映画なんですよ。
 この映画を繊細たらしめているのは偏に天才子役ジェイコブ・トレンブレイの演技です。なんなんでしょうこの子は。表情、目、涙、圧倒的ですよ。
『ゲーム・オブ・スローンズ』からいまいちブレイクしきれていないキット・ハリントンの熱演もジェイコブくんが食ってしまってます。もう爆食いです。キットを許してあげて!

クライマックス近くにジェイコブくんの泣きの演技は本当に凄い。
それまで溜め込んでいた思いを言葉にしようと気持ちを振り絞る表情、声、涙。
演技で観客の心を動かす事ができる役者です。
しかも子役。
今後成長して大人となった時、過去幾多の天才子役が消えていった事を思うと、今後も見守っていきたいと思います。

ついでにゲームスロファンとしてキット・ハリントンの今後も温かく見守っていきたいと思います。
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