しおえもんGoGo

葛城事件のしおえもんGoGoのレビュー・感想・評価

葛城事件(2016年製作の映画)
4.0
登場人物のダメさ加減がすごく自分と地続きにある感じ。
父親だって家を建てた時は真面目に働いてマイホームを建て、家族を守り、子供の明るい未来に希望を抱き、健やかな成長を願ってミカンの木を植える。こんな頼りがいのある夫、強い父親って理想的だったはず。でもそれがなぜこうなってしまうのか。
特にあの世代の男性は口調が強めの人も珍しくない。三歩下がって「お父さんの言う通りにしておきなさい」という母親も珍しくない。自分の思う良い人生を歩ませようと口出しする親もいる。怒られるのが嫌で言うべきことを飲み込む人もいる。親の意見が疎ましく現実逃避してしまうこともある。
多かれ少なかれどれも思い当たる事なのに。あの楽しそうな家庭からなぜこうなったのか。私は今その破滅へのルートのどこかに乗ってないと誰が言えるだろう。私の良かれと思った行動が誰かを間違った方向に押していないとなぜ言えるだろう。
田中麗奈演じる次男の妻ですら、もしかしたら実の家族と上手く行ってなくて何か自分の存在意義が欲しかったのだろうかと想像する。そんな「私もひょっとして」という生々しさがすべてのキャストからにじみ出て、非常にうまい映画だなと思った。もう二度と見たくないけど。
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