わたがし

キングスマン:ゴールデン・サークルのわたがしのレビュー・感想・評価

5.0
in IMAX
 140分、飽きることもなくどんどんどんどん新しい展開で畳み掛ける脚本が本当にめっちゃ面白くて、前作は脚本よりも演出の映画という印象があったんだけど、今回は本当に問答無用に脚本が面白かった。「強引でも何でも面白ければそれでいい」という面白さへの信念。面白いって最高!!
 アクション演出とか、前作と違うことをしてやろうと意気込んでいるのはわかるんだけど、どう観ても前作のほうがキレッキレだったよね感はある。でもそれは前作の「キングスマン」における魅力であって、今回の1番の魅力はやっぱりスケール感だと思う。
「魅力はスケール感だと思う」とか言うとすげえバカの感想みたいだけど、やっぱり映画におけるスケール感ってすごく重要だなと思った。スケールが大きければ大きいほどその世界観への信頼度というか、確かに「実存する世界だ」と感じる感覚が(当たり前だけど)大きくなっていくと思う。前作の「広がってはいるけどなんやかんや閉じている(簡単に言うと嘘臭い)世界観」が今回、予算と共にパッと一気に開放的になって、肌で感じられるようになった。そしてそれがドラマの切実性などにも繋がっていく。スケール感は大事。
 前作と今作を通じて思うことは、これは嗜好品に関する物語だなということ。嗜好品というか、人間の「嗜好」についての物語。ここで嗜好という単語をそのまま使うのが正しいのかはわからないけれど、人間、摂取しなくてもいいけど摂取すると楽しくなったり、人生が豊かになったりするもの(携帯、麻薬、酒、煙草、宗教など)はたくさんあって、でも、この満たされた現代社会において人間はそれらこそが一番の「必需品」だと勘違いしているんじゃないか。それって狂ってるんじゃない?みたいな問題提起が常にあると思う。
 そして「嗜好品はあくまで嗜好品であって必需品じゃない」という感覚こそがこのシリーズにおける良い意味での「不真面目さ」に繋がっているのだと思う。なんとなくそんなことを思った。ジュリアン・ムーア、絶望的に魅力的。

【2回目】
 音楽が最高に最高。シーンの繋ぎが最高。そして観るほどに強引ながらも「スマートだ!!」と自分で自分を言い聞かせているかのような物量作戦話運びが好き。質より量!!続編は質より量!!
わたがし

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