すずき

バジュランギおじさんと、小さな迷子のすずきのレビュー・感想・評価

4.2
シャヒーダーちゃん6歳は、インド旅行中に母と逸れてしまう。
生まれつき言葉を話せない彼女だが、気が優しくて根っからのハヌマーン信者のパワンことバジュランギおじさんと出会う。
喋られない迷子の子の身元を特定するのに四苦八苦するパワンだったが、ある日彼女がヒンドゥー教国のインドから独立したイスラム教国のパキスタン人である事が判明し…
宗教と国家の壁を越え、世界に愛を伝えるエンタテイメントドラマ。

インドでは歴代3位の興行収入だっけ?
その記録に違わぬ、万人にオススメのいい映画でした。
下ネタも無し。暴力シーンは軽めのものが少し。

歌って踊る、インド映画らしいミュージカルシーンは前半に少しだけ、ってのが最近のインド映画のトレンド?っつても昔のインド映画あんま知らんけどさ。
最近、その文化がなくなりつつあるらしいね。
個人的には、インド映画にミュージカルシーンは絶ッ対に必要!なので、なくならないで欲しい。

「愛」より「憎しみ」を伝えて増幅させるメディア批判の社会映画の側面も。
テレビ番組だけでなく、我々が情報の発信者となるネット・SNSでは、自らが当事者。気をつけねばならない。
隣国との関係が不安定な我が国も、この映画に学ぶ事は多い。
国という単位では受け入れられない事もあるだろうが、人という単位では協力する事は出来るのだ。

たった1人の男の、「誰かを救いたい」という願いからの奮闘が、多く人々の心に響き、国を越えた人間同士の大きな力になる…
ラストの展開は、「逆シャア」を彷彿とさせる熱い展開!バジュランギおじさんは伊達じゃない!

徹底的に非暴力を貫き(悪人認定したら容赦ないが)、とうとう国境警備隊に要求を飲ませてしまうくだりは、ガンジーのよう。或いは「どげせん」。