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ジャッキー ファーストレディ 最後の使命のしおえもんGoGoのレビュー・感想・評価

3.4
見ててすごく面白いというわけではないけれど、興味深い内容だった。

たった2年ちょっとの任期なのに世界でも最も有名な大統領の一人となったケネディ大統領。この作品はそんなケネディのイメージを作り上げたのがジャッキー、特にその葬儀だったという話。

私は「JFK」などケネディ暗殺の真相のような話は大好きだけど、正直ジャクリーンについては、ただフワフワとしたあいまいな笑みを浮かべながらケネディの隣に立ってる若い美人妻、という印象しかなかった。
その後大富豪と再婚するところも含めて、失礼な話だけれどあまり知的なイメージも無かった。

この映画はそんなジャッキー像を覆すものだった。
最初の登場からすでに彼女はフワフワした美人妻ではなく、鋭い眼光でインタビューの主導権を握る切れ者の空気を漂わせている。

夫が自分の横で射殺されるという究極の体験をした後でも休む間もなく、使命感に突き動かされるように夫の名を歴史に刻むべく動き続ける。
それは夫が亡くなった直後、病院から搬送される棺の付き添う時からすでに始まっている。その直前までの動揺を見ると冷静な判断というよりは本能的なものにすら思える。
要所要所に描かれるホワイトハウスツアーや、ダラスに着いた直後のシーンではぎこちなく、自信なさげに見えるのに、夫が亡くなった後の方が凛として強い。
時々迷いや焦燥感を見せながらも突き進むジャッキーに弟のボビーですら押され気味だ。

でもジャッキーの使命感の源は分かりづらい。
夫への愛情なのか、ファーストレディとしてアメリカという国や国民のためなのか、それとも自分の虚栄心のためなのか、美意識なのか。

インタビュー中に泣き出すかと思えば直後には冷めた目でインタビューアーを見据える、私には何もないと虚しさを見せるかと思えば「私はたばこを吸わないの」と傲然と言い放つような本音の見えづらさも、彼女が一筋縄ではいかない底知れない人であることを描いている。

ナタリーポートマンの演技は本当に上手で、特に暗殺直後の憑かれたように話し続ける演技は凄みがあった。

本当のジャッキーがどんな人で、本当にこんなことを成し遂げたのかは分からないけど、ケネディが生きていたらアメリカはどんな素敵なキャメロットになっていただろう。そんな期待を今でも抱く人が多くいるのだから、彼女の功績はとても大きなものだ。

ところでYOUTUBEでジャッキーのホワイトハウスツアーを見ると、ナタリーポートマンの発音の再現率が高い事と、実際のジャッキーの髪形がなかなかすごい盛り上がりな事に驚かされる。
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