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LIVE!LOVE!SING! 生きて愛して歌うこと 劇場版のmuraのレビュー・感想・評価

4.5
『その街のこども』の監督と聞いて見てみた。『その街…』が被災後の神戸を舞台にするのに対し、『生きて愛して…』は被災後の福島を舞台にする。

福島から神戸に避難している女子高校生が、小学校時代の同級生3人と小学校(帰還困難区域)に埋めたタイムカプセルを掘り出そうと福島を目指す。なぜか女子高校生が所属する合唱部の顧問であり、彼氏でもある高校の先生も一緒に。

最初から何度も流れてくる神戸応援ソング「しあわせ運べるように」。顧問はそれを歌おうと提案する。女子高校生はそれに反発し、「神戸の被災はチャラい」と言う。

歌詞には「傷ついたふるさとを元に戻そう」という言葉が。でも、神戸と違って福島には、それが叶うような気配もなく…。

『その街…』同様、ドキュメンタリー的に被災地をめぐっていく手法が効果的。登場人物とともに被災状況を実見し、しだいに共感を覚えていく。

最後、見つけたタイムカプセルを開けてみると、そこには女子高校生が入れていた意外なものが。それを見て涙が止まらなくなった(笑)

クサすぎてノレないと思っていた神戸応援ソングが、最後には不思議と心に沁みて。それと、途中、妄想のなかで歌われる「つ・も・り」という曲が、皮肉たっぷりで最高。
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