Hopelessness

リップヴァンウィンクルの花嫁のHopelessnessのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

逃げろ、どこへでも構わない。こんな不条理な世界からは逃げてしまえばいいのだ。

リップヴァンウィンクルの物語に倣い、この映画もその舞台によって二つに分けよう。分岐点は、七海(黒木華)が不思議な屋敷に住み込みでメイドの仕事を始める点である。

前半で描かれるのは、七海が社会から追放されていく様である。具体的には教師という仕事、そして教師との結婚生活からの追放である。
しかしながら、社会なるものが価値あるものかは怪しい。この社会は、人々が派遣会社やマッチングアプリによって簡単につながれ、そして切られる。すべてが形式化され、商品化され、貨幣価値に一元化される。七海自身がSNSに呟いたように、何もかもが市場に並べられた商品なのだ。
ウェディングドレスを例にとろう。前半部でこれが現れるのは三箇所。互いにすれ違ったままの七海の結婚式と、彼女が親族代行で参加した重婚の結婚式という、幸せや二人の絆が感じられない世間体のための場。そして七海が家を追い出されたときに通りかかった店のショーウィンドウの中で顔のないマネキンが着ている。すべて中身がなく形式のみの空虚なものとして象徴的に描かれている。

後半では、追放された七海の対応が描かれる。彼女は追放された果てに、奇妙な屋敷にたどり着き、ここで真白(Cocco)とともに上述の空虚な資本主義社会からの逃避・籠城をする。
真白は最後に語る。自分がお金を払うのは、値札のついた商品それ自体に対してではなく、人の真心や優しさに対してであると。
再びウェディングドレスに注目しよう。先の真白の言葉を踏まえれば、二人が突発的に購入したウェディングドレスは、前半部のものと対照的に、意味内容をもった象徴であることがわかる。

そして逃避の果てに七海が見つけ出した結論は、自分と同じく社会から疎外されている不登校の生徒とオンライン家庭教師としてささやかだが確かな精神的なつながりを保つこと。そしてエンディングの如く目をつむること、どこと知れず逃げ続けることなのである。
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葬式のシーン、どこかでみたことある人だなぁと思ってたらAV女優だった。
結局そこばっかりに目がいってたのは男の性ですかね…?笑
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