Hopelessness

ガルヴェストンのHopelessnessのネタバレレビュー・内容・結末

ガルヴェストン(2018年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

エル・ファニングが美しい、これだけでいいじゃないか!と言いたくもなるが、レビューとしてまとめてみたい(笑)

組織から切り捨てられた殺し屋ロイ(ベン・フォスター)と、たまたま居合わせた娼婦ロッキー(エル・ファニング)との逃避行の物語である。
逃避行とはいえ、派手なカーチェイスや銃撃戦があるわけでもなく、それどころか組織側の動向は一切あらわれてこない。映像としては途中でロッキーの妹(実は彼女の娘)ティファニーをピック・アップしたのち、美しいガルヴェストンでの三人の交流が描かれており、のどかな印象さえ受ける。

主役の二人は多くの点で対比をなしている。特に医者から余命宣告を受けていた(のちにフェイクであることが判明)ロイは「いかに死ぬか」を常に考えている一方で、娘を抱えるロッキーは自分たちが「いかに生き延びるか」を考えている。
そして急転直下、追ってきた組織につかまったとき、死に場所を探していたはずのロイは、監視の目を盗み脱出に成功する。この時、ロイはガルヴェストンでのロッキーとティファニーとの触れ合いの中で彼らに生きる希望を転移している。他方、生き延びることを望んでいたロッキーは殺されていた。さらにロイの逃避行の終わりには、彼が癌で余命わずかであることがフェイクであったことが明らかにされる。
このように、二人の望みや人生のヴィジョンのようなものは冷酷な現実によって完全に対照的な形で引き裂かれており、アイロニカルにさえ感じられる。

そしてガルヴェストンにひとり置き去りにされたティファニーが、20年ののちに真っ当に育ち結婚を控えて、ロイを訪ねてくる。ここで、これまでの物語がロイがティファニーに語った回想録であったことが明らかになる。確かに、それまでの物語はすべてロイの視点から構成されており、ロイの目を離れたときにロッキーが何をしていたのか、何を考えていたのか、そしていかにして殺されたのかは実際のところ観客は伺い知ることはできない。

そしてティファニーの成長を確認し、すべてを伝えたロイは、自らの人生の役割を果たしたと感じたのであろう。ハリケーンが近づく中、ロッキーの後を追うように一人歩いていくシーンで本劇は幕を閉じる。
Hopelessness

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