まーしー

コンカッションのまーしーのレビュー・感想・評価

コンカッション(2015年製作の映画)
3.5
監察医ベネット(ウィル・スミス)のもとに、有名な元アメフト選手の遺体が運ばれてきた。
死因に疑問を持ったベネットは、自費で検査を続け、ある結論にたどり着く——。

タイトルの「コンカッション」とは、「脳震とう」という意味。
確かに、脳しんとうを起こすほど激しいアメフトのタックルは、時に選手を負傷させるであろう。このことは、多くの人が承知しているはず。
ただし、負傷はあくまでプレイ中の出来事であって、引退後の生活に支障を与えるものとは誰しも思わないだろう。
アメフトを詳しく知らないベネット医師だからこそ、そのような先入観に疑問を投げかけることができたのかも知れない。

アメフトというスポーツの危険性に着目するということは、アメリカの国民的スポーツの否定と同義でもある。
批判や嫌がらせを受けたベネット医師は、アフリカ系アメリカ人。ここに人種差別も垣間見える。これが白人医師による訴えであればどうだったのだろう。

家族にも悲劇が起こる中、社会からの逆風に負けることなく、信念を貫き通したベネット医師が、ただただ格好良い。
ウィル・スミスの熱演もあって、好感の持てる人物に映った。

ベネット医師の訴えが、その後アメフトの世界にどのように反映されたのか。個人的には判然とせず、モヤモヤとして残った。
ただ、ベネット医師の生きざまを知るには、十分な作品だと思う。