カテリーナ

イップ・マン 継承のカテリーナのレビュー・感想・評価

イップ・マン 継承(2015年製作の映画)
3.7
何より大切なのものは

前半は悪徳不動産が小学校の土地を狙い
力尽くで 奪おうと嫌がらせを繰り返す チンピラが校長先生を襲ったり 放火して机や椅子が燃えてしまったり 挙げ句の果てには幼い生徒たちを誘拐したりと 誰が見ても
分かりやすい 善と悪の構図 単純な私は
ここでたっぷりと正義側のイップマンに感情移入し 大勢の敵をバッタバッタと爽快に倒していくドニー・イェンの最大のもう一つの見せ場 決して取り乱さないが大暴れのシークエンスでカタルシスをまんまと味わうのだ
子供や生徒たちが心配で仕方ない彼は役に立たない警察に代わって何日も夜遅くまで弟子たちと共に学校の周りをパトロールする 彼の持って生まれた正義感がそうさせるのだが 妻は困り顔だ
家庭を顧みないこの行動はこの後 取り返しのつかない後悔に苛まれることになる
悪徳不動産が一件落着した後 ある事実がイップマンを悲しみのどん底へ突き落とす 贖罪と内に秘めた静かなる情熱を隠し妻との残された時間を過ごすイップマン
我こそは真の詠春拳と名乗りを上げ イップマンは偽りだと闘いを挑むチョン・ティンチ 彼の挑戦状を完全無視するも
「木人椿の音をしばらく聞いてない」夫の胸の内を慮り 対決へと導くように呟く妻
の言葉 オープニングとここでのイップマンが木人椿で練習をするシーン 同じ事をしていても 彼の心情があまりにも違いすぎるのが悲しい
詠春拳を継承し名誉や誇りを守る為の闘い
それよりも大切なのはそばにいる人 だと語る 繋いだ手と手寄り添う肩と肩 のぬくもり
慈しみ合い 深い信頼と絆で結ばれた 理想の夫婦像がここにある
カテリーナ

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