カリカリ亭ガリガリ

ミッション:インポッシブル/フォールアウトのカリカリ亭ガリガリのレビュー・感想・評価

5.0
運動!活劇!アクション連べ打ち!これぞ映画よ!!!
と、感嘆符を羅列してしまうのは、本当に鑑賞中、あまりの馬鹿げた奇行(超褒めてます)の数々に終始口角が上がりっぱなしで、且つあらゆる見たことのない前人未到の映像の連鎖に、大袈裟ではなく涙を浮かべてしまっていたという、いや泣いたという、文字通り感嘆の147分間だったからです。
トム・クルーズがロンドンで建物屋上を激走する、つまりトム走りを見せるシーンの美しさに、うおおおおお……!と声が漏れて、そしてびーびー泣きました。

恥も外聞も無く断言してしまえば、バスター・キートンもジャッキー・チェンも、トム・クルーズという男はついに超えてしまっています。皮肉ではなく、映画史を更新し続ける俳優の位置にいるし、そういうシリーズになっているからです。
トム、56歳だよ?ごじゅうろく。誠に信じられない。
不謹慎ながら最上級の賛辞として、トム・クルーズは遺作"の中"で死ねるんじゃないかと思います。

前作にしてシリーズ最高傑作『ローグ・ネイション』のウルトラ完成度には及ばないものの、本作の価値は異なるベクトルとして、映画内における"運動"それだけで映画を完成させるという、そういう試みが大大大成功しているという点なのです。
勿論、基本的なプロットはありますし、マジでアクション純度100%ということではありませんが、それでも鑑賞中/鑑賞後の余韻としては、運動ここに極まれり!という唯一無二のエンターテインメントになっているのです。

ヒッチコキアンのクリストファー・マッカリーですから、今回はモロ『めまい』オマージュを見せ付けて泣かせてくれますし、映画がパリに舞台を移すと(凱旋門のラウンド・アバウトをバイクで猛スピード逆走するシーンの素晴らしさ!)、途端にクロード・ルルーシュやアラン・レネ的なショットが炸裂し続けて泣かせてくれますし、更にテレビ版も含め、1,2,3,4,5、全てのシリーズの伏線を回収、と言うかシリーズ全作品に"もちろん、ちゃんと意味があった、この瞬間のために!!!"という敬意が表されていて、もう涙腺ぐっちょんぐっちょんになるほどに泣いてしまったわけです。面白い映画をありがとう!!!と感謝・感激しながら。
(特に『M:I 2』ドンピシャ世代の多幸感は凄まじいのではと察します、アタシがそれでした)

と、泣いてばかりなんですが、アクションそのもの、純粋な運動それだけで人の心を奮い立たせてくださる、これぞ真の娯楽映画なのですから、今すぐにでも3回目に足を運びたい次第なのです(そう、既に2回観たのです)(と言うか、このシリーズは毎回タイトルシークエンスの答え合わせをするために必ず2回は観てしまいます)(あ、2と3は違うけど……)

余談の1として、レベッカ・ファーガソンは本当に魅惑の女優だなあ……まるでグレース・ケリーとイングリッド・バーグマンを足した顔付きだもの。グレース・ケリーがバイク爆走したり、イングリッド・バーグマンがライフル銃連射しているわけですよ……映ってるだけで惚れ惚れします……マッカリーも相当惚れ込んで撮ってるよね……

余談の2として、パリでのカーチェイスにおける、何が起きても(イーサン・ハントもパニクる破茶滅茶な事が起きる)、ソロモン・レーンことショーン・ハリスが終始無表情・無言を貫いてぼーっと硬直している状態をマッカリーもギャグとして撮っていて、あれはかなり、かなり可愛かったです。
(ソロモン・レーンは当初ベネディクト・カンバーバッチの予定だったらしいけれど、本当にショーン・ハリスでよろしかった)

余談の3として、元々背が低いトムとでけえスーパーマン(ヘンリー・カヴィル)が並んで仲悪そうにしているだけで楽しい。

ところで、アクションシーン優先、脚本未完成の状態で撮影された本作に関して、作劇面での批判も見受けられますが、恥を承知でアダルトヴィデオに喩えてみましょうか?ずーーーっと濡れ場ですよ。ぜーーーんぶ濡れ場。終始エクスタシィィィ!な瞬間。しかも未だかつて誰も見たことのない濡れ場の連続。そして男優は56歳のハリウッドスターだよキミ?!最高ってこういうことだろ!?(色々とすみません)