ひろぽん

君の名は。のひろぽんのレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
4.9
千年ぶりとなる彗星の来訪を一か月後に控えた日本。そんなある日、山深い田舎町である糸守町に暮らす女子高校生の三葉と、東京の都心部で暮らす瀧が夢の中で入れ替わるという不思議な体験をする。出会うことのない2人が運命的にも現実世界でお互いを探し合う青春物語。


一世を風靡する作品とあって光り輝く青い空や、かたわれ時と称される夕焼けの綺麗な黄昏時の淡い風景は心が浄化されるほど美しい。
大きな湖の周りを家が囲うように建ち並び優雅な自然の中で暮らす三葉や、新宿や四谷など瀧が暮らす東京の街並みが現実世界と何ら違わぬかたちで描かれており親近感が湧く。

田舎と都会の全く知らない男女が入れ替わることによってラブコメが始まるのかと思いきや、思ってた展開とは全く違う方向に展開していくから魅力される。

頭上を流れるように美しく光り輝くティアマト彗星は、多くの人にとっては綺麗な光景として映るが、間近でその被害を受けた人たちから見ると悪夢でしかない。こんな綺麗な景色を拝みながら最後を迎えるのも一興なのかもしれないが。


今作のキーワードとなるのは三葉と瀧が身につけている“組紐”

“よりあつまって形を作り、捻れて絡まって、時には戻って、途切れ、またつながり。それが結び、それが時間。”

この一葉の“組紐”の解釈の意味そのモノがこの作品を表現している。そして、黄昏時を表す赤とオレンジ色の組紐。3年という時間差、三葉が髪をショートにした意味…
ドンドン伏線が明かされていく展開が面白く観ずにはいられない。

映像美だけでなくRADWIMPSの『夢灯籠』『前前前世』『スパークル』『なんでもないや』といった神曲が作品を盛り上げるから素晴らしい。

特に山頂で瀧と三葉がお互いに手に名前を書き合うところから隕石落下までの『スパークル』が流れるシーンは名シーン!滝と三葉が初めて顔を合わせるドキドキ感や、彗星が落ちてくるまでの緊張感が凄い。落下してくる隕石の美しさに見とれながらも、三葉たちの奔走で緊張感が絶頂に達し、手に汗を握りながら観ていた。

階段で瀧と三葉がすれ違い
「君の、名前は…」
と問うラストシーンは
グッとくる最高のシーン。

主演の神木隆之介や上白石萌音をはじめ、多くの俳優さんが登場しているのに皆上手で素晴らしかった!神木隆之介が声を担当する映画のヒット率の高さも凄い。

『言の葉の庭』が好きだから雪野先生や靴職人を目指すタカオのワンポイント登場も嬉しかった。タカオに関してはほんのワンシーンだけという。

後にも先にも劇場に2回観に行ったのはこの作品以外にないし、それほど夢中になって観てた記憶がある。家で観るよりやっぱり劇場で観る作品なんだと改めて思った。

映像の美しさと落ち着いたRADWIMPSの曲がとても癒される。好きなアニメ作品の内の一つ。


「出会うはずのない、二人の出逢い」
ひろぽん

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