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特捜部Q キジ殺しのnoteのネタバレレビュー・内容・結末

特捜部Q キジ殺し(2014年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

特捜部Qの刑事カールのデスクに、なぜか20年前に捜査終了したはずの双子惨殺事件のファイルが置かれていた。何者かの意図を感じたカールは再捜査に乗り出し、事件当時に重要情報を知る少女キミーが失踪していた事実にたどり着く。すぐにキミーの行方を追いはじめる一同だったが、キミーを探し続けている人物は他にもいた…。

特捜部Qシリーズ第2作。
今回の事件は20年前に寄宿学校で起こった双子の殺人事件。
それは金持ち、権力者の息子たちによるイジメの末の犯行だった。
事件を立証できるのは、加害者の一員でありながら、殺人が怖くなって逃げ出したキミー。
キミーは逃亡の末にホームレスになり、加害者たちは、親の財力を引き継ぎ、権力者となっていたが、過去の爆弾を抱えるキミーを追っていた。
キミーを探す特捜部の2人だが、警察を頼らず、キミーは自分の手で復讐を果たそうとする。

難点は、過去の回想シーンに加え、残虐な殺人とレイプ映像が断続的に続くため、精神的に追い詰められる胸糞の悪さだ。
しかし、これは犯人たちの残虐性を知らしめる上で必須なので仕方ない。

腐った権力者に虐げられる者たちがいるのは、今も昔も同じ。
法に護られ、のうのうと甘い汁をすすっている悪党に特捜部が立ち向かっていく。
悪党の家に不法侵入してまで証拠を押さえようとカールとアサドは奮闘するが、キミーの復讐も凄まじい結末を迎える。

やたらキミーが強いと思ったら、なるほど「ドラゴンタトゥーの女」の脚本家。
悪党を倒すカタルシスより、復讐の虚しさとキミーも特捜部も報われない遣る瀬無さが残った。

「人生そう簡単に上手くはいかない」
それがこの作品を見て思ったことだ。

主人公カールは、強くもなければ、特殊な能力もない。
いつもカールに振り回されるアサドの方が礼儀も分別もあり、人間的には明らかに優れている。
カールは短気で直情型で突っ走り、ボコボコにされる、ついてない男だ。
自分にもそんな時がある。また、ごく身近にいそうな人という感じがして、それだけにハラハラする。
そして、可哀想なキミーを救おうとする密かな優しさにも共感できる。

新しく配属される秘書のローセも加わり、カールの荒んだ心がまた少し救われる。
離婚した妻との間にできた息子と繋がりを取り戻そうとするエンディングが良い。

暖かい仲間に囲まれて、また一つカールが人間性を取り戻すことができたのだ。
カタルシスのあるハッピーエンドではないが、カールの心境の変化にはリアルな人間味があって心に染みる。

「人生そう簡単に上手くはいかない」
しかし「少しずつ変えていくことはできる…」そう思えるのだ。
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