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KUBO/クボ 二本の弦の秘密のしおえもんGoGoのネタバレレビュー・内容・結末

KUBO/クボ 二本の弦の秘密(2016年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ストップモーションならではの素材の質感がものすごくキレイで、繊細な動きはどうやって撮影したのか想像するとちょっと気が遠くなる。
またディズニー物とは一線を画すのがお供の猿とクワガタ。全然可愛くない。しかも呼び名が「猿」と「クワガタ」。おいおい、いかに動物とはいえ口を利く相手にその呼び方は無いだろう。桃太郎か。
でも皮肉気な口調と裏腹に深い愛情が伝わる猿の表情は秀逸で、クボに向ける優しいまなざし、クワガタに向けるしっとりした目線も、その正体を考えると伏線になっている。
音楽も非常に良かった。

難点を言えば、クボに宿る不思議な力というのが、目、三味線、三種の武具と3つに分散して、結局どれ?という感じがするのと、ラストの月の帝の顛末だろう。

あれは元々本当に村にいた善良な祖父だった、という話ではないよね?
記憶を失った人に対して周囲が結託して「あなたはこういう人だった」という新しいストーリーを吹き込むことで新しい人格を作り出すという、よく考えたら結構ホラーな話になってる気がする。

また西洋人から見たらアジア人とは釣り目のイメージが強いんだなというのが強烈に伝わってくるのがある意味新鮮。アメリカで釣り目ポーズをした人が差別的だと炎上するニュースを見てそこまで何も感じたことは無かったけれど、こういう風に「アジア人ってこうだよね」を見せられるとナルホドなと。自分が「〇〇人ってこうだよね」「〇〇人っぽい」と悪気無く言ってることが、言われた方からはこういう気持ちなのかなという一端が分かった気がしたし、これまで中国が舞台の作品を見ても何も思わなかったけれど、舞台が日本となっただけで気になる自分の心持も、我ながらなかなか鈍感だなと自覚できて、それもまた一つ学習になった。

と言ってもこの作品には日本文化へのリスペクトが詰まっているのが分かるし、差別的であるとは思わないけど。

全体として映像、ストーリー、音楽いずれもいい作品だったと思う。
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