カツマ

ある戦争のカツマのレビュー・感想・評価

ある戦争(2015年製作の映画)
4.3
正義の所在も善悪の基準も曖昧にする、それが戦争というものなのか。この物語はデンマークの軍人の視点から描かれているが、もしアフガニスタン側の視点から描かれたら全く違うエピソードになる。感情の拠り所をどこに置くかを問われる作品。アカデミー賞外国語映画賞ノミネートも納得。かなりの力作でした。

アフガニスタンに派遣されたデンマーク軍の隊長クラウスは妻と3人の子供を母国に残し、タリバンとの掃討作戦にあたっていた。彼はとある村での救出作戦にて、敵を確認していないにも関わらず銃撃のある方向へと爆撃を指示してしまう。隣りには首を撃たれて瀕死の部下が。部隊も銃撃に晒される中で彼の判断は適切なはずだった。だが、爆撃したエリアにいた住民11人が巻き込まれ死亡したことで、クラウスは軍法会議へとかけられることになる。

妻から家族のことを考えてほしいと懇願されるクラウス。その一方で嘘をつき通すべきなのかの葛藤に苛まれる。彼が選んだ選択は果たして正しかったのか。戦争という極限状態の中で、法を優先すべきなのか、それとも自分に助けられる人命を優先するのか、はっきりとした答えはないのかもしれないが、彼は守るべきもののために戦った。それが間違いだったとはどうしても断言できなかった。
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