ぬーたん

ダンケルクのぬーたんのレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
5.0
圧倒的な臨場感!
カメラがすごい。
本当にその場に居るような錯覚に襲われる。
空の戦闘機に、海に浮かぶ船上に、そして陸の桟橋に。
飛び込んだ投げ出された海の水の中で苦しくなり、顔を上げたら火の海の、窒息しそうな息苦しさ。
砂浜に伏せて、敵機の攻撃が去っていくのをじっと待つ心臓の鼓動。
その緊張感と息苦しさが延々と続くのだ。
これは、耐えられない!
観終えてぐったりと消耗した。
IMAXで観たら、多分、少し痩せたかも?
すごいのは、余計な会話も回想も、キャラ作りもないところ。
中途半端にするよりは、ダンケルクのみを描いた今作は清々しく潔くて好きだ。

臨場感のあるカメラを更に盛り上げるのは、音楽。
ハンス・ジマーの曲が、そのシーンにピッタリで、心がざわざわする。
そして、俳優たちの演技がまた素晴らしい。
陸と海と空のまちまちな時間の表示が出て、何だろう?と思いつつ観ていくと、やがて同時進行するのを知る。
見る側も、その時に向かっていく。
これが上手い。

陸・1週間。の若者たち。
無名の俳優。
イギリスに帰りたいという切迫した気持ちが行動はもちろん、その表情に表れていて、その必死さに、リアリティーがあった。
陸に居るトップは海軍中佐、ケネス・ブラナー。
スマートでかっこ良い役。威厳があってお似合いでした。
海・1日。の船長。
マーク・ライランス。
日本で言えば、笹野高史ね(違うか?)
『ブリッジ・オブ・スパイ』で知った俳優さんだけど、渋くて人情味がある。
助けられたイギリス兵のキリアン・マーフィーが戦場の恐ろしさをその無表情で表していて、良かった。
陸・1時間。
パイロットはトム・ハーディ。
目しか見えないのに、めっちゃカッコ良い!
ラストは顔がようやく出るけど、もちろんカッコ良い。そしてマッチョな体もカッコ良い。つまりカッコ良い(しつこい)

監督で脚本もクリストファー・ノーラン。
天才です。
つまらない作品はひとつもないかも?
そして、何度も観たくなる作品ばかり。
さすがです。

戦争映画の傑作は『バンド・オブ・ブラザース』が不動だと私は思っているが、一応ドラマに分類されているので別と考える。
戦争映画では今作が一番好きになったかも?
そして、後半はあちこちで泣けた。
最後はとても泣けた。
何と言われようと、生きて帰ったら、それで十分。
よく戦ったのだ。
あのジョージだって英雄さ。
ぬーたん

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