凛

ダンケルクの凛のレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
3.9
第二次世界大戦中、1940年に英仏軍がドイツ軍に追い詰められて、ドーバー海峡に面したの港町フランスの湾岸ダンケルクに取り残され、最大の救出作戦が展開された。
英国では有名な出来事の一つ。

3つの異なる時間軸を混ぜながら描いていく。速度も違うので同時並行ではない。
陸の兵士達の1ヶ月、空軍の1時間、民間船の1日。それぞれの体感時間が全く違うり
ダンケルクに残された兵士が逃げのびようと様々な方法を試みる。
空軍スピットファイアはかずは少ないながらも出撃する。
英国からは民間船の協力者を掻き集めて救出に向かう。
兵士達が先行き分からないように、観客も戦局が分からない。ドイツ軍が迫る恐怖、逃げられないかもしれない絶望感。
限られた船に乗り込める人と艀に残される人。期待と絶望感。せっかくの乗り込んだ船が爆撃される。
スピットファイアも被弾しながらも砂浜に到達する。ここに希望がある。
民間船は戦争には慣れていない。同国民を守る使命感を感じながら邁進するが、潮目の難しい航海で順調とはいえない。救出した兵士との小競り合いも、その勇気が揺らぎそうになる。
それでも帰還した兵士達を出迎える英国では、彼らは英雄であり、ドイツ軍への反撃の糸口になる。
英仏軍にとっては戦局の折り返し地点。
観客もやっと安心することが出来る。

ある程度、ダンケルクの戦いについて知っておいた方が良いと思う。少なくともどこの国の戦争であるか、当時の戦況はどちらが優勢だったのか、この救出で何を失い何を得たのか。
ダンケルクの戦いの後もまだまだ戦争は続いていく。一つの転換点でしかない。
兵士達の目線で恐怖を味わうことで、戦争の悲惨さを痛感する作品だと思う。
凛