喜連川風連

シング・ストリート 未来へのうたの喜連川風連のレビュー・感想・評価

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ホモ・離婚・堕胎が犯罪の超保守カトリック国家だった1980sアイルランドのロック映画。

カトリック国家アイルランドにおいて、デュランデュランやTHE CUREのような服装をすることは、反抗を表現してあまりある。

「メイク」がこの映画のキーワードか?

ヒロインが年上彼氏と付き合っている時は濃いメイクだが、主人公と仲良くなるにつれ、メイクが薄くなっていく。

主人公も、当初はデュランデュランに憧れ、メイクを施すが、自分の音楽を見つけていくにつれ、メイクが無くなっていく。

最後、メイクをしたヒロインと大海に旅に出るが、大雨によって、メイクは流され、素顔で海に叫び、大団円を迎える。

音楽も良く、THE CUREを使うタイミングが最高だった。

ただ、バンドメンバーや友人との関係性があまり掘り下げられなかったのが残念。喧嘩相手との和解?も、やや唐突感。

全てのお話が「彼女と仲良くなるための道具」に見えてしまう。

強烈なテーマはなく、好きな女抱いて、気持ちよく音楽やろうぜ!で終わる。

小船で大海に乗り出した反抗の代償を映画の中で精算することなく、希望に溢れ映画は終わる。

こうしたところに不満を覚えるものの、青少年の希望に難癖をつけるのは、捻くれ者の悪癖である。撤収!
喜連川風連

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