シャトニーニ

シング・ストリート 未来へのうたのシャトニーニのレビュー・感想・評価

3.0
『Once』『はじまりのうた』などのジョン・カーニーによるロック映画。

厳格な学校や、インチキなオトナへの反抗の象徴として、バンドを組み、当時下火になりつつあったロックで闘う、いわばアイルランド版『青春デンデケデケ』。
パンクでもサイケでも、グラムロックでもブルーアイドソウルでもない、新次元の音楽を目指す葛藤が、痛々しくも香ばしい。

そんなバンドを描いていながら、80年代アイルランドの、家族や社会問題に少し心を抉られる。
プロメテウスの如く、弟の心にロックを灯したアニキが、ひたすらに素敵すぎる、家族や兄弟の絆の映画です。

描写が軽いのに重いロマンスも描かれているので、その点ではジョン・カーニーによる、21世紀の『小さな恋のメロディ』といって久しい青春映画なのでした。