パケ猫パケたん

東からのパケ猫パケたんのレビュー・感想・評価

東から(1993年製作の映画)
4.5
~シャンタル・アケルマン映画祭🌺
   2023~  より


『東から』 (1993) ドキュメンタリー
 🇫🇷フランス 🇧🇪ベルギー 115分

監督・脚本 シャンタル・アケルマン
撮影    レイモンド・フロモン
      ベルナール・デルヴィル


東欧革命直後の旧東ドイツ、ポーランド、ロシアで撮影されたドキュメンタリー

東欧革命の簡単な流れ

1989年6月
 ポーランドにおける、非共産党国家の 
 成立
1989年11月
 ベルリンの壁、崩壊
1989年12月
 ルーマニア革命
1991年
 バルト三国のソ連からの独立
1991年12月
 ソ連の崩壊


東欧革命を扱ったドキュメンタリーであるが、客観的・専門的に分析する映画では無くて、ロシアを中心とした人々の、顔、顔、顔を描いている

『家からの手紙』(1976)が、ニューヨークの街並みが主役であるのに、対して、
『東から』(1993)は東欧諸国の庶民の、人々の顔が主役である

シャンタル・アケルマンらしく、ほとんどが長回しの移動撮影の手法で写されている
駅や長距離バスターミナルで待つ人々や、工場に働きに出る行列、買い物の行列等等

夜間撮影の光が美しい

インタビューとかは全く無く、ただ
人々の顔を撮っていく 

だって、歴史の流れの細かい経緯など、
庶民には分からない、苦難に耐えるだけなんだよ

『家からの手紙』では、ニューヨーク
の人々がカメラを覗きこむ視線が、邪魔
だったであるが、『東から』は逆に、撮影中のカメラを覗きこむ、人々の顔を利用している

同じ大陸にあるので、親和性がある、だから、『東から』の人物の顔は少し大きく撮られている

人々は毛皮はしっかりしているが、下の衣服は質素である

さて、冬の寒さと東欧革命に寄ってであろう、人々の表情は疲れ気味で、風雪に耐えている

かっぷくのいい中年女性たち、若いロシア美女の集団(若干、余裕がある表情)、カメラを睨む中年男、疲れきってカメラなど無視して椅子に座り込む若い男、カメラに色目を使う兵士(シャンタルたん👱‍♀️✨に、色目を使うなよ😻😹)、駅舎で寝ている浮浪者、鼻歌を淋しげに歌う女など

それらの人々の風体や表情を統計する事により、東欧革命のひとつの結論が出ると思う

また被写体の表情が、それぞれ違っていて、カメラに対する視線も各人異なり、
太った中年女性、細いロシア美人(細い熟女が何故か少ない)、まあ農奴風な顔立ちの男、女、男前の男、アジアの血が混じった若い女など、バリエーションが豊かで、横移動の長回し撮影の妙と相まって、観ていて飽きない
(シャンタル・マジック🌺🧙‍♀️✨❗)

緊張を強いる長回しの画面、適宜、挿入される家庭の画面にほっ懲りする
緊張と弛緩のリズム🎵

終盤、演奏の後、女性のチェリストに花束💐を渡す場面は、芸術大国であるロシアへと、そして、東欧革命へのリスペクトの念であろう

最後、ラストシーンでは、早朝に人々が行列をしながら雪を踏みしめている 
雪の白さの美しさ、踏みしめる音の清冽さよ

人類は進化していくのだろうか
未来に幸あれ

当時としては、極めて独創的なドキュメンタリーであったであろう
その映像に対する満足度は、高い🐱



2023ー83ー64

KBCシネマ
シネマ2


⚫シネマお遍路、ルール変更のお知らせ

まぁ、オイラにとっては
単館系映画を上映してくれる、KBCシネマ、中洲大洋、kinocinema天神は、高野山、バチカン、メッカみたいな聖地なので、観たスクリーンは関係無しに、映画お遍路に数えたいと思います👏🐾パチパチ  
尚、小倉昭和館も、復興すれば、聖地に加える予定です🎵
(2023年8月15日施行🐱)