でしょうかな

ロストックの長い夜のでしょうかなのレビュー・感想・評価

ロストックの長い夜(2014年製作の映画)
3.5
1992年8月、ドイツ北部の都市ロストックで、移民の排斥を訴える暴動が勃発。友人と共に暴動に参加する少年、その父親で問題に対処しかねている政治家、移民センターで暮らすベトナム人女性、彼らは事態の大きなうねりに巻き込まれていく。

東西ドイツ統一後、ドイツ各地で移民排斥運動が急増したそうだが、その中でも最大の暴動とされる旧東ドイツのロストックで起きた事件を架空の人物たちの視点から振り返る作品。
この事件のことは全く知らなかったので、改めて知ることが出来たのは大きい。作中でも、旧東ドイツにおける開発の遅れや若者の失業率の高さが移民の敵視に繋がったであろうことを匂わせる。そして、そうした悶々とする若者の姿を描くことで、一種のジュブナイル的な作品になっている。
ただ、全体的に不透明感が強い。当時のドイツの事情をよく知らないと、あまり説明が無い前半は何度か混乱しそうになった。特に政治家のパートはややこしい。終盤、それまでモノクロだったのが急にカラーとなり、事態の混沌化が伺えるが、死者が存在しない事件なのもあってか、そこからのカタルシスや破壊も物足りない。
本作には資源を拾い集める子供たちが登場するが、ラストの行動で暗澹とした気持ちになる。
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