ヴィム・ヴェンダース製作総指揮のドキュメンタリー。
アルゼンチン・タンゴの伝説的ダンサー、マリアとファン。
14才と17才で出会い、お互い唯一無二のダンスパートナーとして結婚もしたが、その先に待っていたものは…。
原題の[ Un Tango mas ]はもう一つのタンゴと訳すらしい。
マリアとファンにとってのもう一つのタンゴとは、華やかな踊りの裏に隠された愛と憎しみの人生。
80才となったマリアへのインタビューをメインに、アルゼンチンを代表する名ダンサー達が若き日の2人をダンスで再現する。
タンゴの美しさは女性の脚の美しさ。
太腿の付け根からつま先まで大胆に見せた方が断然美しい!
日本では音楽としてのタンゴは比較的早くから受け容れられたが、男女が体を密着させて踊るダンスのタンゴはずっと後になってからだろう。
全編に流れるバンドネオンのタンゴのリズムと、素晴らしいプロのダンサーによる情熱的なタンゴに魅せられる85分。
「女がたった一人で…というのが大事なとこなの」と言いながらもマリアの歩く姿は背筋が伸びて80才とは思えなかった。
愛する男と一緒に居るために「タンゴは口実」と言ったが、その愛に傷付き口実だったタンゴに救われたのかも知れない。