ぬ

ゴッホ~最期の手紙~のぬのレビュー・感想・評価

ゴッホ~最期の手紙~(2017年製作の映画)
4.3
これは・・・映画館で観たらよかったよ!(後悔)
とにかく、厚みのある油絵がアニメーションになっているのが素晴らしく美しい。
ゴッホの絵が動いてる!肖像画が生きてる!
部屋の中に差し込む窓からの光と雨の影とか、水面の揺らぎに映った顔とか、煙とか、涙とか・・・息を呑むほど美しい、生きてる油絵に感動しっぱなしだった。
DVDで観てもこんなに興奮してしまうんだから、映画館で視界いっぱいに観たらこの世界に没入しまくれるんだろうな〜

ストーリーも私は好きだな。
最後まんまと感動してしまい泣いた・・・優しい・・・この映画はとても優しい・・・
主人公がゴッホが遺した手紙を届けるという目的を通して、ゴッホの生前を知る人々と交流し、ゴッホの生と死を読み解いて行くんだけど
主人公がゴッホについて知るにつれて、どんどんゴッホに対して熱くなっていくところも面白い。私も同じ熱量で観られた。

死産で亡くなった兄と同じ名前を受け継ぎ、父と同じ宣教師を志すも失敗し、常に何かになろうとして挫折を繰り返した空っぽで孤独だったゴッホ。
最期の手紙を読むシーンがものすごくよかった。
今でこそすごい金額でやり取りされる彼の絵だけど、彼の作品は彼の生前たった一枚しか売れなかったという。
評価されることなく売れない絵を書き続ける、いい歳したおじさんへの風当たりは強かっただろう。
孤独と狂気というイメージが強い彼だけど、原題の『Loving Vincent』の通り、愛情深く、弟やその奥さんはじめゴッホに愛情を抱いていた人々もいた。
ポスターに「愛か、狂気か」とあるけど、人間、愛も狂気も共存してるよな。

映画もとっても素敵だし、製作された方々のゴッホ愛、油絵愛が滲み出ているのも素敵じゃないですか。
何よりもゴッホのことがもっと好きになった。
近くでリバイバル上映があったら行きたい。ブルーレイ欲しいな。
ゴッホの伝記映画『At Eternity’s Gate』も気になる。
ぬ