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だれかの木琴のmuraのレビュー・感想・評価

だれかの木琴(2016年製作の映画)
4.2
早朝、1つの部屋に灯りがともる。若い男が窓から自転車を出す。そしてペダルをこぎ出す。そこで流れだす音楽は…昭和か!(苦笑)

でも、嫌いじゃない。むしろ好み。そして、ここからエンディングまで緊張感が途切れることがない。で、最後にまた昭和!(苦笑)

夫と娘と3人で暮らす中年の女が、カットを担当した若い美容師の男にメールを送るようになる。何度も何度も。そして家にまで押しかける。平凡な生活に満足できない女がストーカーになっていく話か…と思っていたら、そうではない。

なかなか解釈が難しいところも多いが、閉ざされた(セキュリティも完備されている)家の中にいて、外の世界と繋がりたいと願ったときの手段がメールだったということか。子どものとき、誰もいない2階の窓から外に向けて木琴を奏でていたように。

いや、この解釈も違うような…

とにかく、女の行動が理解しがたい。まさにネジが1本外れているような。ところが、ネジが外れているのは女だけじゃない。周囲の人たちも同様だということに徐々に気づかされる。

人間なんてみんな1本も2本もネジが外れてるんだよと言いたいのか。

女、その夫、美容師、その彼女、さらに女の娘まで、登場人物すべてのキャラクターが立っている。だから、解釈は難しくても物語はわかりやすい。引きこまれていく。あっという間の2時間だった。

で、最後に池松壮亮が話す博多弁。初めて聞いたような。これは良かった(笑)
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