sabo

冷たい熱帯魚のsaboのレビュー・感想・評価

冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)
3.9
鑑賞日2020/04/29

静岡県富士見市で小さな熱帯魚店を営む社本信行。妻の妙子とは再婚して間もないが既に夫婦仲は冷めきっていた。先妻の子である美律子は3年前に実母を亡くし、心の傷も癒えぬうちに再婚した父を軽蔑し、妙子を母とは認めなかった。
そんな二人の間に板挟みになりながらも信行は真っ向から向き合えない。
そんな折、美律子が万引きで捕まる。
信行と妙子は店長の元へ駆け付け謝罪するが店長は警察に通報すると譲らない。そこへ居合わせた村田幸雄という男が仲裁に入り、店長と懇意らしい村田の説得により事は丸く納められた。
気さくな村田幸雄は偶然にも同じ熱帯魚店経営者で大型店舗を経営する遣り手だった。美律子の素行を気にした村田は自分の店で美律子を雇い一人前の社会人として自立出来るよう支援すると請け合う。信行は余りの唐突な申し出に戸惑うが家庭の不和と村田の押しの強さにより美律子を任せることにする。
そんなあくる日、村田に呼び出された信行は高級熱帯魚を取り扱う大きな商談を持ちかけられる。ところがこの商談は思いもよらない展開となる。
しかし信行にとってそれは常軌を逸した悪夢の始まりに過ぎないのだった…

**感想(ネタバレ含む)**
園子温作品初鑑賞しましたー…(;´д`)
覚悟はしてましたが百聞は一見に如かずでしたorz
ストーリーは実話ベースとの事で、元ネタとなった埼玉県の事件の概要も確認してみました。。
2時間半と中々の長尺でしたが次々と巻き起こる猟奇的な展開に一瞬の中弛みも無かったです、、と言うか2時間半もあったんだー…と終わってから気付きました。
そしてここまで尋常成らざるストーリー展開でありながら、微塵も違和感を感じさせない流れ。グロや性的描写を『刺激のための単なる描写』ではなく、ともすればそれはストーリーに対する添え物程度に感じさせる程の破壊力。
『コレガニッポンノ園子温デスカ?(゜∀。)』
正直ここまでドストレートな直球勝負は予想してなくて、きっと二重三重に込み入って複雑で再鑑賞必須と思っていただけに、こんな衝撃は間違いなく何十年ぶりです。
凄い作品、凄い監督、凄い演技、ですが、この作品の再鑑賞は絶対無いです。
気に入らないとか好きじゃないとかじゃなく、純粋にもう封印でいいと思いました。(割りと良い意味で)

最後は超超超個人的感想で恐縮ですが、村田はかなりダークな幼少期がありそのトラウマにより…的なことを匂わせてますが。。
それは駄目でしょー…(;´д`)
この作品でそれはある意味禁じ手と感じました。
ここまでやったのならいっそのこと『理由無き純正サイコパス』で貫いてよ~・゜・(つД`)・゜・
『実話ベース』を最初にバーーーンと出してそれをやっちまった日には…遺族感情はいかばかりかと思うと流石に胸が痛みます。村田の最期の弱々しい台詞に涙出そうになったけど泣くのは違う?泣いたら負け?みたいな気持ちになりました。
人生、初手からクッソ重い幼少期過ごしても必死で真っ当に生きてる人は沢山いますからね。

ストーリー:3.8
ビジュアル:4.0
音 楽:4.0
キ ャ ス ト :3.8
sabo

sabo