アイルランド人のレドモンド・バリーという男の野望と栄光と挫折。
映像にトコトンこだわるキューブリック監督らしく
どこをとっても1枚の絵画になるような場面ばかり。
3時間という尺の長さを前編と後編に分けて見せる手法もニクい。
話の内容は退屈だと批評されることも多いらしいけど
私は個人的にはこの作品はコレでいいと思う。
ある男が自分の腕一本でのし上がろうと
知恵と体力と運を使い果たし
最後には失墜して朽ちていくそのさまを
淡々としたナレーションで綴っていく。
一人の人間の栄枯盛衰の物語で
「美しきものも醜きものも 今は同じ すべてあの世」
日本の文学作品にもある
「或る女」とか「田舎教師」のような味わいのある作品。